故 薮野師匠の聞き書きを一部公開します。
プロワナ師のノウハウを御披露させていただきます。
イノシシを獲るワナです。穴をほらないワナです。鹿も獲れます。

雑誌 『狩猟界』 2003年1月号 P103に掲載されました。連載として2月号にも掲載されました。

     尚、雑誌 『狩猟界』は最寄の書店にて定期購読予約されないと入手しにくいかと思います。
     銃砲火薬店の一部で販売しておられる場合もあるようです。

     雑誌 『狩猟界』社  電話 03-3292-1211 FAX 03-5282-5250

雑誌 『狩猟界』 は廃刊となりました。


新製品 2014
2022 2023

電撃で心臓を停止させます。

いのしし しか の電殺器



甲賀流 ヤブノ式 パチンワナ 創始者  薮野 栄重郎
聞き手 狩研究会 事務局


罠技術は、一朝一夕には生まれない   

≪ 技が未熟でも獲れた時代 ≫

今まで、どれくらい捕獲されましたか?

 数えきれませんね。数えたこともないです。10頭獲ったとして10年で100頭ですね、、
15〜16頭ぐらいがこの40年ほどの平均ですね。この数年は数頭しか獲れない年さえあります

若い頃、地元新聞に記事がでたそうですが?
 あれはまずかった、『それだけ獲って売っているなら税金を払えって』イノシシ獲って所得税払った人はあまりいないでしょうね。

どれくらい捕獲されたのですか?
 その年は単独で50頭ほどですね。20〜30年前の話ですね。
地元のグループ猟の方もそれくらい獲っていたようです。

昔は沢山いたんですね。
 いましたね。1日で7〜8頭獲ったこともありますね。いくらでも獲れました。どこにでもいました。
技が未熟でも獲れた時代ですね。獲っても獲っても売れた時代ですね。

どれくらいの価格だったんですか?
 私は獲ったイノシシのほとんどを決まった仲買人に売っていました。
先代が引退して息子さんに代替わりするまでは、いくら獲っても全部買い取ってくれました。引き取りに来てくれる場合もありました。三重県の伊勢でとったときでも引き取りに来てくれました。ハラ抜きでで130文の時もありました。丹波で仕事や狩猟をしていたときは、丹波の問屋に売ったこともあります。

130モンとは何ですか?
 イノシシの値は昔から文です。10貫のイノシシで130モン。今風でいいなおしたら約40kgで13万円。¥3000/kgです。多少値が変ることもあったけれど大体そんなもので買い取ってくれていました。ハラ抜きで皮がついたままで量ります。最近はイノシシ肉が珍しくなくなったのと不景気のせいか半分の値段にもなりません。普通は12月までは値がよいかと思います。

肉が荒れていた場合でもですか?
 イノシシの肉が荒れたことはあまりありません。毎日ワナをみているし、頭を撃つか止め刺しをします。犬で獲ったように、荒れたり血が回った肉ではないです。足をくくるかアバラをくくるか、鼻をくくるか、いずれの場合でも肉は傷んではいません。

止め刺しはどうするのですか?
 銃禁なんかですと必ず隠れられる太い木のあるところで獲ります。そして前足の付け根の肩と顔との間を前から刺します。クシュンと鼻から血が噴出したらOKです。心臓か肺を突きます。頚動脈ではありません。
 長さ2mぐらいの竹を釣ざおの段継ぎのようにしたものを作っておき、2本つないで4メートル離れたところから突きます。ゆっくりイノシシの皮にあたるまで差し出して、当ててからいっきに突きます。銃が使える場所では必ず撃ちます。耳の後ろの窪みの頚動脈を切る人もいるようですが、私はしません。

どんなナイフですか?
 刺身包丁です。いろんなモノを試しました。コンクリート型枠用のキリもいいですね。でも、長めの使い古して刃幅の狭くなった刺身包丁が一番いいですね。最近は歳とって危険なので、突くことはあまりしません。突く場合は、イノシシの足が空に向くようにワナを掛けておいた場合です。ひっくり返っているところを刺します。(手短に説明できないので今回は省略します。)
 注意しなければならないのは突いたらすぐに引き抜くことです。そうしないとイノシシが暴れた場合にアバラに挟まったり、飛ばされて怪我をする危険があります。簡単に刃が曲がってしまいます。
 イノシシは常にこっちを睨みつけているので横からアバラを刺すのは難しいです。ほとんど前から突きます。銃剣道の段位を持っているので前からかかってくるのは問題ありません。


犬猟はどんなやり方でした?
 若い頃に20年ほど、ワナをしながら犬を使っていました。ほとんど単独猟でした。使うのは和犬の雑種で、洋犬は鳴くから駄目です。鳴かない和犬でないと獲れません。1頭だけ連れてゆきました。
 雪が積もったら、ワナを見てから犬で猟をしました。このとき、絶対に引き綱を放してはいけません。単独猟ですから、起こしてしまってはパアです。犬はイノシシに近づいた頃にすごい勢いで引き綱を引っ張ります。
 イノシシは必ず何か被って寝ています。そのまんなかから飛び出してきます。犬の引き綱を放すのは撃つ時だけです。犬猟では搬出がしんどいです。この20年はワナ猟ばかりです。

猟はどのあたりでされてきましたか?
 兵庫県や三重県でもやってきましたが、滋賀県南部が多いです。西部や北部、彦根でもしましたが、甲西町・甲南町・甲賀町・土山町・日野町ですね。今でもその周辺でやっています。

イノシシの大きさは?
 平均12貫、48kgぐらいでしょうか?20貫クラスは少ないですね。17貫ぐらいまでが多いです。最近指3本、5cmぐらいの爪幅ばかりですね。前足片側、爪2個の足跡の幅のことです。ケヅメの事ではありません。例えば17貫ですと6cmになります。

いつ頃から山を見て回ります?
 稲刈りが終わり次第見に行かなくてはなりません。最近ですと9月になればいつもの範囲をぐるぐる見て回っています。

≪ 30年の歴史から ≫

今回、公開されるパチンワナについてお話いただけますか?
 これを作ったのは30年くらい前ですね。最初の数年間、3年か4年ぐらいだったと思います。空弾きばかりで獲れませんでした。踏んでいるんだけれど空ハジキでした。初めて獲れたのは鈴鹿山系でした。パチンワナに拘わらず猟のやりかたはそれぞれいろいろあって絶対にこれが正しいというのがないと思います。ですから、私が獲れなかったからといって他人様が獲れないとはいえませんし、他人様が獲れたからといって私が真似をして獲れる訳でもありません。

獲れた原因は何ですか?
 鈴鹿山系のそこは下が岩盤で穴が掘れなかったんです。
穴を掘らなければ今までまったく獲れなかったパチンワナで突然3頭も獲れたんです。

足くくりワナなのに穴を掘らないのですか?
 ワナでの獲り方にもいろいろあって、これが唯一のやり方ってのは無いと思いますけれど、穴は掘らないのがいいと思います。掘ってもせいぜい3センチ程度ですね。埋め戻してシャミ糸が引っ張られた時に掛け金が作用する程度で充分ですね。

私は穴を掘るのに1時間かけて、ツルハシやスコップやら道具もいっぱいで、ノコギリなんかで木の根を切ったり、猟期前から穴を掘って用意したり、土をジーンズの脚部でつくった袋で離れた場所まで運んだりしたことがあります。8個仕掛けるのに1週間近くかかりました。クリスマスに掘っていたこともあります。師匠は掘らないんですね。
 木の根や石コロで掘るのに大変な場所がありますね。私も苦労して穴堀をしていた時代があります。でも、そんな事していた時代は獲れませんでした・

どうして穴を掘るといけないのでしょうか?
 絶対にいけないという訳ではないでしょう。穴を掘って獲る人もいるでしょうし、ただ幾つかの推測はしています。一番大きいな理由はイノシシの嗅覚の鋭さかと思います。
 地面のなかのカナッケの匂いや木の根からの分泌物なんかが漂うのではないでしょうか?それで穴があるのが判ってしまうのでしょ。イノシシは足をサッと引き上げてしまうのかと思います。

 それに4輪駆動ですからイノシシは。机でも足の1本が壊れてもすぐにひっくり返るわけではないでしょう?それと同じことでしょう。2本足だったら穴の底まで足を嵌めてしまうでしょうけれどあっちは4輪駆動なので少し降ろしてみて『これはいけない』と思って即座に足を引き上げるのだと思います。
 穴を踏んだ時に力込めて踏み込みさせないと駄目ですね。その為には深い穴では駄目だと思います。

空弾きばかりで長い間いろいろ考えていましたが獲れてはじめて理由がわかった気がします。

ヤブノ式パチンワナは穴をほらない?
 穴を掘る時もあります。せいぜい3センチ程度の窪みです。
イノシシが足を降ろしはじめて反発が感じられて安心してシャミ糸を踏み落とす程度です。
穴を掘るというより土を少し除けるといった方が正確かもしれません。
そして埋め戻すという感じです。

≪ 軽い軽いパチンワナ ≫

パチンワナは見た目も他のワナと異なりますね。
 先日「狩猟界」を、初めて読ませてもらって、世間ではいろんなワナがあるもんだと改めて驚きました。
実に正しい工夫がされていますね。山では他のやりかたのワナも見たことがあります。
みんな工夫をしているようですね。当然の事ですね。

 正直いって、私はあまり他人様のワナのことはよく知らないのです。せっかく掛けてあるワナの傍までいってしげしげ眺めるわけにもいかないでしょう?ワナに悪さしたとか、盗んだとか、あらぬ嫌疑をかけられるのがオチですから。それに他人様が架けている周辺には掛けませんから。
 一番違うのはカサでしょうね。とにかく嵩張らない。ワイヤーを含めて800g程度です。運ぶのに軽いし、移動や回収が早い。
次に目立ちにくい、イノシシからも目立ちにくいし、目立ちにくいから盗られにくい。
もっとも今まで150個ほど盗まれていますが・・・(笑い)



パチンわな  狩研究会 軽くて頑丈な ぱちんわな

150個も盗まれているのですか?
 パチンワナだけの数ですよ。他の型式で50個盗られた年もあります。まあ私のパチンワナを盗んでも普通はセットできないでしょう。中には器用な人がいて再現する人がいました。
 以前、三重県の林務課から呼び出されたことがありました。私の名札をつけたままセットしてそこに獲物が掛かって死んでおったんですよ。おそらくその人だけでしょうね。私のパチンワナを持って行き、獲物をとったのは。「皮と骨になるまで名札つけたままほっておく道理がない」と説明したら、納得して無罪放免になりました。

 簡単にセットできないから盗られにくいと思いますよ。ま、150個も盗られて、「盗られにくい」とはおかしな話ですが。

師匠のワナを盗んで掛けていればすぐにわかるのでは?
 ほとんど売ったことがありません。盗んでも掛け方がまずわからないでしょうね。そういう風に作りましたから。
名札のついていないワナが9月頃から掛けてあったりしますよね。たいてい盗んだワナだと思います。ワナ具を盗んでも、掛ける技までは盗めないから、イノシシは獲れないでしょうね。鉄砲は誰が引き金を引いても弾がでるものですけれど、ワナは違いますね。それぞれに正しい使い方があります。
 ワイヤーにしろ、盗んでいっても肝心かなめの掛け方を知らなくては効果がでないと思います。盗んできたワナの正しい使い方や仕掛け方を教える罠師がいるとは思いません。自分のワナが盗まれる理由を作っているようなものですから。
 盗まれた時は警察に届けるのが良いと思います。そうすると、所持していたり掛けたりしにくくなりますから。最近は、わざわざ盗まれる現場を待ち構えてユスリをする人もいるようですね。恨まれることはお互いにしない事ですよ。
少しも良いことはありません。

パチンワナは軽いですよね。30個も同時にもてるワナなんて他にないですね。
 ワナは数を掛けないとだめですから、軽くないと数が掛けられなかったのです。ボストンバッグに詰めたりなんかして、あらかじめ見当をつけてある場所に順番に掛けていくわけです。いちいち車に戻って何度も獣道を通る訳にはいきませんから、できるだけ短時間で設置しないといけません。
 仮設置だけしておいて作動状態にさせておかない「事前仕込み」をする場合もあります。
解禁日の深夜零時すぎてからセットする時もありました。半日はやく猟が始められる訳です。
 ワイヤーや段取りをあらかじめしておいて、バネセットだけしたときには1時間で10個掛けたときもあります。
穴を掘らなくても偽装を含めて、1個当たり概ね30分ぐらいかけます。
30分以上設置時間がかかると場が荒れてだめですね。場を荒らすとイノシシが近寄りません。
猟期に入って見回りの時でも決して獣道は歩いてはいけません。双眼鏡で弾いているかどうか見るぐらいが良いでしょう。
 ワナは適切な場所に適切な方法で掛けなくてだめです。例えば、太い竹に元を縛ってはいけません。どんな太い竹でもバラバラになります。大きな樹もだめです。ワイヤーが切れてしまいます。半径4m以内に立ち木や株があってもだめです。巻きついて短くなったワイヤーは太くても切れてしまいます。
 いくら良いワナ具でも掛け方や場所の選定が悪いとだめです。それと、あたりまえの事ですが、数をかけなくては駄目ですね。要するに生き運のないイノシシに巡り合える確率です。30個掛けられるなら、キチット30個掛けないと駄目です。完全に30個かけても掛かるのは1個です。1個ないかも知れません。

まったくの初心者でも、掛ければイノシシが獲れますか?
 ワナ具を正しくセットできたとしても困難でしょうね。獲れるかもしれませんが、ワナの種類を決めたり、掛ける方法を考えたり、いろんな事がありますから。同じ場所で同じ型式のワナ具を使用しても掛け方によっては獲れないでしょう。
 イノシシは枝打ち・伐採・草刈りを非常に嫌うように思います。私はそんな所には掛けません。
犬に追われたら通るかも知れませんが。

餌は何をやるのですか?
 原則的に餌付けはしません。他人様に『このあたりにワナがありますよ』って教えているようなものです。それに雨に打たれた餌の匂いはあまり良くないと思います。イノシシは何もわざわざ腐ったものを食べなくても自然界には安全でおいしい食べ物がいっぱいあるのですから。
 残飯やら米ヌカなど、まるで山に捨てにきているような人も時々見受けますが、イノシシを獲っている人とは思えません。人間にさえ嗅げる腐った臭いを当たりに漂わせて、イノシシを追いやっているように思います。
 もっとも、米ヌカを撒いて生息数や大きさを知ろうとする場合もあります。残された足跡や、特に鼻の大きさで獲物の大きさを推測して対応した工夫をする場合もあります。
 世間は足っていうけれど、鼻をみないと本当の大きさは推測できないと思います。イノシシみたいな足跡をつける鹿もいます。
断言はなにごとでもできません。米ヌカにくっきりついた鼻の痕が大切です。

( 狩猟界 2003年2月号に つづく )


下地処理について

防錆の油と自然さびの混在が標準です。

何でも対応できる リン酸処理 がおすすめです。

リン酸処理は、 脱脂 リン酸浴 水洗 アルカリ浴 水洗 自然乾燥 が標準です。


  天然処理も リン酸処理後がのりやすいです。 タンニン カテキン カキ渋 アルカリ カセイソーダ 石灰 木灰 食酢 塩酸 硝酸 硫酸などがあります。

  水性塗料は、リン酸処理後か自然さび、洗剤処理などが必要な前処理です。


     毒物劇物取扱者 京都 第21-13号 

     公害防止管理者 水質 第1種    専門家なので安心して御相談ください。  


電殺器一式画像 2m ×4.6m

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参考画像 イノシシが掘った スリバチ

いのしし あな

ワイヤーで捕獲した状況

イノシシ オス 48kg


※おことわり

パチンワナを販売しない地域(滋賀県の一部地域) 
湖南市 甲賀市  甲西町・水口町・甲南町・甲賀町・土山町・日野町


電殺器には販売制限地域がありません。


法令の改正によって内容が不適切となる場合があります。


御注文には同意注文書が必要です。 注文書書式

狩研究会

携帯電話 090-4648-9467

電話 0748-62-2176


  連絡先電話番号 携帯電話番号もお忘れなく。 

メール障害のプロバイダーが一部にございます。

メール  kappaboss@aol.com


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